専門家による貧血コラム

女性のための貧血対処法(3) -妊娠と貧血-

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妊娠中は貧血になりやすい時期です。妊娠すると血液量が最大40%増えますが、赤血球の数はそこまで増えないため、妊娠中の血液は薄くサラサラになります。これは血液の循環が良くなって、赤ちゃんにスムーズに栄養が行くようにするための生理的貧血であって、病気ではありません。鉄欠乏性貧血との区別は検査でわかります。

妊娠前からの蓄えが大事

胎盤や赤ちゃんの発育に伴って鉄の必要量は増えるので、その分プラスする必要があります。しかし、妊娠のはじめはつわりで食べられなかったり、後期になると赤ちゃんが急激に育つため、食事では追いつきません。妊娠中は赤ちゃんに優先的に栄養がいくので、お母さんが貧血でも赤ちゃんは平気なことが多いですが、妊娠中元気で過ごして出産に備えるために、妊娠初期、できれば妊娠前から鉄分をしっかりとっておくことが大切です。

塩分を控えた鉄分たっぷりメニューを

妊娠中は鉄分に限らず、いろいろな栄養素が必要です。鉄分が多い食品はたくさんありますから、まずは食べられるものから選んでとりましょう。一つの食品に偏ることがないようにすると、他の栄養素もとりやすくなります。 また、妊娠中は血液量が多くなるので高血圧になりやすい時期でもあります。鉄分をとるためにおかずを増やすと塩分も多くなるので、カレー粉などの香辛料や薬味・酢などを使うなど減塩の工夫をしましょう。

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※上記の専門家コラムに関するご質問、お問合せは、原則受付けておりませんのであらかじめご了承ください。

コラムニスト 黒澤真奈 (女子栄養大学 栄養クリニック)

筆者の写真

管理栄養士の視点から貧血予防をアドバイスします。

現代人に一番多い貧血は鉄欠乏性貧血。主な症状は、めまい・立ちくらみなどですが、普段からこのような症状があり、異常だと気がつかない方が多いようです。この鉄欠乏性貧血が多い背景には、みなさんの食生活が大きく関わっています。これを機会に、自分の食生活にフィットした貧血予防を見つけてください。

【所属】 女子栄養大学 栄養クリニック
【資格】 管理栄養士
【著書】 「おもいっきりDON!1155」(日テレ)出演。「カートゥーンネットワーク」(スカパー!)、「毎日小学生新聞」、「栄養と料理」(女子栄養大学出版部)レシピ提供など多数。

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