専門家による貧血コラム

貧血改善に必要な栄養素(2) -ヘム鉄と非ヘム鉄-

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鉄分のゆくえ

食事から摂った鉄は、体内でどのように吸収されるのでしょうか? 口から入った食物は胃で分解され、小腸で吸収されます。鉄も胃液により、吸収されやすい形になり、小腸で吸収されます。

体内には約4gの鉄がありますが、毎日の食事から吸収される鉄の量は約1000分の1程度です。これでは、いくら食事で鉄を補給しても貧血になってしまうのでは?と思うかもしれませんが、一度吸収された鉄は、ほとんど体外に排出される事なく、何度も何度も繰り返し利用されているのです。

ヘム鉄と非ヘム鉄とは?

食品に含まれる鉄には、体内に吸収されやすいヘム鉄と吸収されにくい非ヘム鉄の2つに分けられます。 ヘム鉄は、肉・魚などの動物性食品に含まれ、中でも貝類・かつおやマグロなどの赤身の魚・鰯や鯖などの背の青い魚・レバー・牛肉の赤身などに多く含まれています。更に、これらには良質なたんぱく質も含まれていますので、毎日の食事に積極的に取り入れてみて下さい。

一方、野菜・穀類・卵などに含まれる非ヘム鉄は、ヘム鉄の約5分の1程度しか吸収されません。しかし、同時に摂取する栄養素により大きく吸収率が変わってきます。

その吸収率をアップしてくれる栄養素がビタミンCとたんぱく質です。ビタミンCは、果物や野菜に多く、イモ類にもたっぷりのビタミンCが含まれています。しかもビタミンCは、一般的に熱に弱い性質ですが、イモ類のビタミンCはでんぷん質でガードされているため、熱に強いのが特徴です。

もう1つの栄養素!たんぱく質は、肉・魚・卵・乳製品などに含まれています。
豆類にも鉄分が多く含まれていますが、吸収が悪いため、マーボー豆腐やすき焼きなど肉との組合せがおススメです。 このように鉄は、一緒に摂取する食べ物の成分により、吸収率が変わってきます。鉄の多い食品に集中するのではなく、上手に組み合わせてバランス良く食べることが大切です。

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コラムニスト 宮川雅代 (学校法人三友学園 宇都宮栄養専門学校)

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正しい知識と栄養管理で貧血予防しましょう。

飽食の時代といわれる現代ですが、貧血の人が増えているといわれています。 カロリーは高けど大切な栄養素はとれていない・・・そんな食事をしていませんか?正しい知識を身につけて貧血を予防、克服していきましょう!栄養管理や食事づくりの知識を活かし、みなさんに正しい栄養学をお伝えしていきたいと思います。

【所属】 学校法人 三友学園宇都宮栄養専門学校講師
【資格】 管理栄養士、健康運動指導士

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